津軽がうちに来てからというもの、私の生活は一変していた。綺麗な部屋で過ごし、三食しっかり食事をとり、そして湯船に浸かって眠る。私生活でこんなにもゆとりが出来たことはなかった。帰るのが憂鬱になるような部屋だったが、今や家路につく足取りは軽く、早く家に帰りたいがために仕事を早く終わらせるようになっていた。そして一週間の仕事が終わる解放感は他には代えがたいものがる。 「休みだー!」 「さんは土日休みなんですね。」 「うん、あれ?津軽が来たのっていつだっけ?」 「月曜日ですよ。」 「えっまだ一週間経ってないの?なんかもっと前からいる様な感じがするんだけど…。」 土曜日の朝、朝食をとりながら津軽が最初にこの部屋に来た日の事を思い出すと、遠い昔の事のように感じた。 「あ、そうだ。津軽、今日何かやらなきゃいけない事ってある?」 「いえ、特には。」 「じゃあ料理教えて欲しいなぁ。あと、いつも取れなかった水垢の落とし方とー…換気扇の洗い方とー…。あ、あと靴買いに行こう。あとは…。」 「さん、休まなくていいんですか?」 「ん?うん、元気あるから大丈夫。」 「それならいいんですけど…明日は何か予定入ってますか?」 「入れてないよ。」 「じゃあ一気にやらないで二日に分けてやりましょう。」 「そう?」 「そうです。さんはちょっと休まないとだめです。」 煎茶の入った湯のみを置きながら津軽は心配そうに私の方を見た。目が合ってしまって一瞬どきりと心臓が跳ねてしまい、わかったという声が自分でも小さいと思った。ふと、新聞に入っていたチラシが目に入った。 「あ、来週花火大会だ。」 「花火ですか…いいですね。」 「っていうか津軽そのままの格好で行けそうだね。花火と津軽って似合うなぁ。」 「そうですか?」 「一緒に…行く?」 「さんも浴衣着てくれますか?」 「私…自分で着つけできないよ。」 「私がしましょうか?」 「えっそれってちょっとどうなの?あれ?でも下に一枚着るんだっけ?それは着物のときだから浴衣ってどうだっけ…わかんないな。あれ…浴衣って実家だったっけ。え、着なきゃだめ?」 自問自答を繰り返していると津軽が目の前で肩を震わせて笑っている事に気がついた。 「どっちでもいいですよ、さんなら。行きましょう。」 優しい眼差しでふわりと微笑んだ津軽に飽きもせずに私の胸が高鳴っている。あぁ、もう本当にどうしよう。また私はごまかすように別の事をしようとして、これで何度目だろうかと思った。 その日は靴を買いに行って、掃除の仕方を教わった。ゆっくり時間が流れているような気分だ。津軽に会ってから、精神的にも癒されている事が多くこの時間が続けばいいのにと思った。 そして日曜日。徹底的に料理を教わろうと私は意気込んでいた。 「津軽のだし巻き卵、すごく好き。」 「そう言ってもらえると嬉しいです。」 「だからこれだけはマスターしたいんだよね。」 「私がいるのに…ですか?」 「違う違う。ほら、友達の家に行った時とかにパッと作れたらかっこいいじゃない。」 「それって、男の人ですか?」 「え、違うよ。」 以前、女友達の家に遊びに行った時、料理が上手でとても感嘆したのと同時に自分の腕にこれはまずいと感じたのだ。 「……よかった。」 津軽がそう呟いてホッとしたような表情を見せたので、思い切り動揺してしまった。今の表情は何?いつも見せているような余裕はどこへ行ったのだろう。かき乱されるような心にざわざわとしながら私はいつもの様にごまかそうと思った。何をごまかしているんだろう、私は。ずっと前から後ろめたくて、ごまかしているこの感情の正体は。 ああ、そうか。私は津軽が好きなんだ。私はロボットに本気で恋をしている。 津軽の横顔を見るといつもの表情に戻っていて、料理の準備をしていた。私、一体どうするんだろう。ロボットを本気で好きになって。せっかく好きな人が目の前にいるというのに心の中は再びざわざわと不穏な空気を醸し出していた。それから気もそぞろになった私は失敗を繰り返してしまい、自分から教えて欲しいと言っておきながら呆れてしまった。 どうしたって一緒の家にいるため意識し始めると平静ではいられなくなってしまう。自覚する以前からも元々の色気にあてられてきたのだ。いくら心臓があっても足りないほど私の心拍数は上がりっぱなしだった。 そしていつもはいつ眠ったのかすらわからないくらいぐっすり眠りにつくというのに、その夜はどうしても眠れなかった。明日も早いのだから早く寝ないと、と思うのに隣で寝ている津軽の事を考え出すとどうしても目が冴えてしまう。 「眠れないんですか?」 突然暗闇で声がしてビクリと反応してしまった。津軽もまだ眠りにはついていないらしい。というかそもそも眠るという観念があるのかどうかすら知らなかった事に気付いた。津軽のいる方へ寝がえりをうってみると津軽は壁の方を向いていて私が話しかけるような形になっていた。 「あ…うん。なんでかなぁ。津軽って眠ったりするの?」 「しますよ。眠らないからといって日中眠くはなりませんが。ちょっとでも沢山でも一緒です。」 「ふぅん…。」 人間ではないロボットの話をした時に胸がズキリと痛んだ。あぁ、もう戻れない所まできている。なんで津軽は人間じゃないんだろう。人間だったら、とまで私は考えている。なんだか息が詰まるような苦しさで目をぎゅっと瞑った。すると人の気配が隣で動いて硬直してしまった。どうしたんだろうと目を開けると目の前に津軽がいた。目の光だけが暗闇で微かに光り、私は息を呑んだ。タオルケット越しに私の背中をトントンと優しく叩いている。あまりの至近距離に心臓を打つ音がどんどん早くなっていく。 「寝かしつけてるの…?」 「赤ん坊は心音と同じテンポで背中を叩くとすぐに眠るそうです。」 赤ん坊扱いされてしまっている事に落胆しながら、その言葉に違和感を覚えた。別に体がくっついているわけではないので心音なんてわからないはずだ。それに心音通りに叩いていたらとんでもない早さになっている。でも津軽はゆっくりとしたテンポのままだ。 「…ロボットでもわからない事もあるんだね。」 「そうですね。もう寝ましょう、大丈夫です。安心して寝て下さい。私がいますから。」 津軽の手は温かかった。タオルケット一枚を隔てていてもそれはわかった。私をお姫様だっこした時の体だってそうだった。体温があるんだからもしかして人間なんじゃないだろうか。きっと、そうだ。そう思ったら急に不安な要素が軽くなり瞼が重くなってきた。 「おやすみなさい、さん。」 頭を撫でるような感覚がぼんやりと残り、私は眠りに着いた。 翌朝。私は携帯のアラームで目が覚めた。手探りで枕元の携帯を探し出し、やっとの思いでアラームを止めると部屋の違和感に気づいた。いつも起こしにくる人物がいない。 「津軽…?」 隣の布団はいつものように綺麗に畳まれているが、人の気配がまるでない。私は飛び起きてリビングや台所へ行った。でも、どこにもいない。あるのは台所にある朝食とお弁当だけだ。津軽の姿だけがない。どうしよう、誘拐?外に出て道がわからなくなったとか?でもきっと津軽ならそんな事はないし、外に出るならきっとわかるようにメモなどを残しておいてくれるはずだ。不安な気持ちがどんどん込み上げてきて、私は岸谷くんに電話する事にした。 「もしもし、岸谷くん?ごめんね朝っぱらから。」 「いや、大丈夫だよ。どうかした?」 「あのね、津軽がいないの、どこにも。どうしよう。」 「…さん、もしかして聞いてないの?」 「え、何を?」 「津軽から聞いてない?津軽とサイケは一週間の試用期間だって。」 その言葉に耳を疑った。体から血の気がさぁっと引いていった。一週間?そんなの全然、聞いてない。 「嘘…。」 「いや、てっきり津軽から聞いてると思ってたんだけど…。津軽たちを作ったのはいいんだけど莫大な費用がかかるっていうことで、最初から一週間って決まってたんだ。」 「なにも、言ってなかったよ…?戻ってくるの…?」 「いや…結局あの二人を動かす為の維持費がかかるのが問題で、家政婦ロボのプロジェクトも凍結するらしくて。」 「とう…けつって、解体されちゃうの!?」 恐ろしい想像が頭の中をどんどん駆け巡り冷静ではいられなってくる。 「いや、お金を掛けただけあるし、企業の倉庫に保管する事になったみたいだから多分解体はないけど…さん…大丈夫?」 「……ごめん、取り乱しちゃって。びっくりしたから…。」 「いや、津軽がそんな大事な事を言い忘れるとは思えないんだけど…昨日の深夜にうちに来てね、「さんをよろしくお願いします。」って言ってサイケと一緒に企業の人と会社に行ったんだ。」 「……そっ…か…ありがとう、ごめんね忙しい時間に。」 「いや、気にしなくていいよ。」 岸谷くんと電話を切った後、体の力が抜けてその場に座り込んだ。どうして?どうして言ってくれなかったんだろう?全然、お礼も言えてない。何も返していない。来週一緒に花火に行こうって言っていたのに。ありのままの私を受け入れてくれたのは津軽が初めてだったのに。私、津軽のことが好きだったのに。 これから一緒に住んでいても私だけ年老いていって津軽はずっとそのままの姿だと悲しいなとか。結婚はできないし、一緒にいても子どもは作れないんだよなとか、いつかは津軽が壊れちゃうのかなとか、いつかは私が先に死んでしまうのかなとか。そんな未来を本気で考えていた。本気で考える程、私はロボットに、感情のある津軽を好きだったのだ。 でも、もう彼はいない。終わりはあっけなく訪れて、二人でいた一週間は儚く終止符を打った。そんな本気で悩んでいた事なんて今となってはもうどうでもいいことだ。ロボットでもなんでもよかった。本当は隣にいてくれるだけでよかったんだ。今になってそれがわかるなんて。 もっと一緒にいたかった。 それから私はまた一人暮らしに戻った。戻ったけれど、生活の仕方は変わっていた。津軽に教えてもらった事で、何もしない事より部屋や生活を整えるほうが疲れないという事に気付いたからだ。津軽のように完璧な家事はできないけれど、部屋は常にきれいにしていたし、休みの日には料理をするようになった。気が向くとお弁当の分のおかずまで作ったりして、今では本当に職場の人に作り方を教えられるようになった。私が家事をするのは自分の生活のためもあったけれど、津軽を忘れたくないという気持ちのほうが強かった。それでも、隣に津軽はいない。そして津軽がいなくなってから半年が過ぎ、季節は冬になっていた。 「岸谷くんってセルティの事すごい好きだよね。」 「それはもちろんだよ!…だってセルティは本当に誰よりも可愛らしくて…」 岸谷くんの家は居心地が良くて家も近いため、たまに仕事を終えてから連絡を取って寄るようになっていた。私がいつもの様にセルティの惚気話が始まったのを聞いていると、岸谷くんは突然話を終わらせて表情を変えた。 「津軽の事考えてるでしょ?」 「…人間じゃなくても、関係ないよね。」 「さんと僕は似てるね。残念だけど、プロジェクト再開っていう知らせはないよ。」 「別にそれ目的で岸谷くんちに来てるわけじゃないんだよー。」 私が笑うと岸谷くんもわかってるって、と肩を竦めた。私は人間ではない人を本気で好きになっている岸谷くんと話しているだけで、救われた気持ちになるのだ。セルティとは何度もPDAとで話した事があるが、津軽と一緒で感情は人間と一緒なのだ。 「未だにわかんないな…なんで一週間で終わるってことを言ってくれなかったのか。」 「僕にはわかるよ。」 「なんで?」 「さんにさよならって言いたくなかったんだと思う。本当は言わなきゃって思ってたかもしれない。津軽はすごく人間の気持ちがわかるから。」 諦めなよとも忘れなよとも言わない岸谷くんはとても優しいと思う。ほぼ100%に近い確立で津軽は戻ってこないし、戻ってきたとしても人間ではなくロボットなのだから未来などたかが知れている。そして私と過ごした記憶が全て消去された状態で、別の人格になってしまっているかもしれない。この半年で私は色んな事を想像してはそれを受け入れられるのかと自問自答してきた。でも、結局たどり着く所は一緒なのだ。どうしても、また会いたい。 「あぁ、そうだ。静雄に会ってみる?」 「え、なんで?」 「津軽と外見が一緒だから。この家で会ったことないよね。」 「うん、ない…けどいいよ。大丈夫!」 外見が一緒なのに中身が違うだなんて、逆に辛くなってしまいそうだ。外見が好きな要素の一つかもしれないけれど、自分を受け入れてくれた津軽が好きだったのだから。 岸谷くんの家を出ると冷たい空気が肌を突き刺して体が凍った。会った時は夏だったのに、もう冬になってしまったんだ。半年なんてあっという間で、きっとまた半年経った頃に私はもう1年経つのかと同じ事を考えているような気がする。そうやって何年も何年も好きでいるのだろうか。私が今までしてきた恋はなんだったのだろう。こんな風に離れてしまっても、思い続ける様な恋はしたことがなかった。それだけ特別だった、あの一週間は。 「蝉と一緒だよなぁ…なんてね。」 一人暮らしは独り言が多くなるというが本当にその通りだ。そう思って自分の部屋のドアノブに鍵を入れて回した。 「?」 いつかと同じ感覚だった。かかってない。回せなかった鍵で急に思い出して勢いよくドアを開けた。 同じだった。男の人がいて、目が合う。和服を着て洗い物をしていた手を止めた。 「つがる…?」 確認するように名前を呼んで、絞り出した声が震えていると思った。違うかもしれない。そっくりな他のロボットかもしれない。ロボットでもなく、人間かもしれない。それでも私の目を見た彼の表情は前と全く変わっていなくて、不安よりもそうであって欲しいという希望の気持ちの方が強くなる。 「私がいなくて寂しかったですか?さん。」 目に涙が浮かんで視界がぼやけた。私は鞄も靴も放り出すようにして津軽の元へ駆け寄った。 「やぁ、新羅。」 「やー新羅!おじゃましまーす!」 「えっ…サイケ?臨也?え?」 「あぁ、プロジェクト再開させたんだよ。」 「再開…「させた」って。」 「新羅以外にもいるんだねぇ、人外のモノを好きになる人間って。面白いよね、さんって。ちょっと、行く末が気になったもんだからさ。ロボットと愛し合ってどうなっていくのか…。あの企業に都合の良いように色々と細工してみたんだよ。割とうまくいったから褒めてもらいたいもんだね。」 「……臨也、君けっこうさんのこと気に入ってるだろ?」 「別にさんが特別ってわけじゃないよ。人間だから平等に愛しているだけさ。津軽がさんの事好きなんだから、シズちゃん、絶対さんの事気に入ると思うんだよね。会わせたら面白い事になると思わない?」 「それ、自分で言ってて恥ずかしくないのかい?」 「はぁ?なん」 「ねーねー早くちゃんち行こうよーー!」 「なに?ロボの方が好きならオリジナルがなんだっけ?」 「サイケ…お前ちょっとは空気を読め。さんにも言っといてよ。技術開発の方にも沢山融資してもらえるようにしておいたから維持費云々は心配しなくていいって。」 「心配してたのは臨也のほうだろ?珍しいね、君がそうやって動くだなんて。」 「だから俺は」 「早く早くー!もう津軽は行ってるんでしょ?僕早くちゃんに会いたい!」 「あぁ、もううるさいな。わかったよ。行けばいいんだろ?結局俺が説明する事になるのかよ…引っ張るなって。」 台所に立つ津軽の後ろから抱き着いて、私はどんどん溢れてくる涙を止められずにいた。洗い物をしていた津軽はゆっくりと手を拭いてからそのままじっとしている。 「なんで…?本当に津軽…?」 「はい。さんは和食が好きで、だし巻き卵が好きで…あと、好き嫌いがほとんどない。」 体が少し揺れたので津軽が少し笑っているのがわかった。津軽は優しく腕を解いて私のほうに向き直った。私を見る目が切なそうで目を逸らす事ができない。 「すみません、さん…本当は言わなくてはいけなかったのに。すぐに伝えようと思ってたんです。一週間で終わりだと。」 涙を流す私の頬に触れた手は、いつか触れた時と同じように温かかった。 「ずっと一緒にいられるような気がして…最後の最後までそれを私が受け入れられなかったんです。どうして私はロボットなんだろう…と。」 津軽の発する言葉を一つ一つ噛みしめる様に聞いているうちに、私は抱きしめられていた。津軽は同じことを考えていたんだ。そう思うと胸かきゅうっと苦しくなった。少し体を離して津軽は私を見た。言わなきゃ、言わなきゃ一生後悔する。 「さん、聞いて下さい。ロボットがこんな事言うなんてと思われるかもしれませんけど」 「好き。」 言葉を聞くよりも何よりも、伝えたい気持ちが溢れて口を吐いた。 「私ずっと好きだったよ。…会いたかった。」 言葉にするとまた涙が溢れて止まらなくなっていた。ずっとずっと伝えたくて諦めきれなかった想いだった。津軽は少し困った様に微笑んだ。 「…先を越されてしまいました。」 「え…?」 「でも、ちょっと違いますね。」 何がどう違うのかがわからず私は少し首を傾げた。溜まっていた涙が落ちて視界がクリアになり、見上げると津軽の優しい笑顔がはっきりと目に映る。 「愛してます。」 そう告げると今度は力強く抱き締められた。思ってもみなかった言葉に心が震えてまた泣きそうになってしまった。もう、人間だとかロボットだとか、そんなことはこの半年間で吹っ切れた。そばにいてくれるだけでいい。 ふと窓の外を見ると雪が降っているのが見えた。ただでさえあまり降ったりしないのに、しんしんと降り続けている。 「津軽、雪!」 「雪…?いや、それよりもうちょっと…。」 「見に行きたい!珍しいなぁ。」 腕の力が弱まった所で窓に寄ると大粒の雪が沢山舞っている。寒いけれど、街がどうなっているかが気になって窓を開けてベランダに出るといつもは暗い街並みが白い薄化粧で明るくなっている。 「うーっ寒い…!けど、綺麗だなぁ…。」 「風邪引いちゃだめですよ?」 後から続いて出てきた津軽は心配そうに私を見ている。藍色の和服と白い雪が似合っていてとても綺麗だ。半年前も同じ様に津軽に似合うと思ったことを思い出した。 「…花火大会のこと覚えてる?」 「覚えてます。」 「約束すっぽかしたね、津軽。」 「……すみません。」 「今年は一緒に行けるかな。」 「多分大丈夫です。」 「ほんと…?」 「ずっとそばにいたらだめですか?」 「そばにいて…ね?」 その言葉に津軽はいつもの様な優しい微笑みを返して頷き、雪がひらひらと舞い降りて街を白く染めていた。 冬景色と君 |